第二回開発プロセス勉強会

5月19日、今回も崇城大学さんに会場をお借りして、第二回の勉強会を開催しました。
今回は東京と熊本二つの事例を2名の方に発表をしていただきました。
学生さんにも沢山参加していただき、様々な視点から意見交換を行う事ができました。

派生開発手法(XDDP)の導入事例

派生開発の基礎と失敗例 - Google スライド

 熊本の組み込み系のプロジェクトにおける派生開発手法(XDDP)の導入事例について発表していただきました。
 ユーザー主導で開発手法を導入された例で、非常に興味深かったです。
 
 新しい開発手法は、まず、導入で手間取りますよね。そのハードルを越えた先のお話でした。
 導入はされたが、手法の肝がメンバーに浸透していない事や、忙しさから感じなプロセスがスキップされた結果、起こった事をお話していただけました。
 当たり前の事ですが、メンバーの理解とモチベーションが重要ですね。
 前回のゲスト「ヌーラボ」さんも一緒にやる仲間を探す事と継続の重要性を語られていましたが、今回の発表からも同様の教訓を得られるかと思います。
 
 個人的に、開発プロセス(チーム)の作り方は雪だるま作りに似ていると思っています。
 最初のコアの作り方と、それを大きくしていく作業の継続が大事ですよね。
 それを支えるのは、観測とフィードバックの仕組み作りかと思います。
 こちらをテーマにした会も開催したいです。

[ゲスト]株式会社 万葉の開発風景

 会社概要 - 株式会社万葉

 東京でRuby on Railsでの開発に実績を持つ『株式会社 万葉』さんのお仕事の様子をお話していただきました。
 女性プログラマーが活躍されている会社さん(経営者さんも女性)で、今回は出産に伴う在宅勤務の事例もお話していただきました。
 (Ruby周りのお話もゆっくりお伺いしたかったのですが、そちらもいずれ)

 開発者の価値を世の中に提供する環境づくりを目指されているそうです。
 派遣でのお仕事であっても開発者を一人にさせない仕組みを構築されているそうで、例えば、スカイプや自社開発の情報共有ツールで、常に社内の仲間とコンタクト(質問、相談、雑談)を取れる状態を構築されています。
 これは派遣先の社員さんも安心、且つ、孤独感を感じないで済みますし、派遣先の会社さんにとっても(例え新人であっても派遣元からフォローがある)メリットがあると思います。

 また、帰社日には、社内でLT大会を行われており、これが大変楽しいものだそうです。 
 仲間を集めにおいても、まずは自分が楽しそう(面白そう)に見えて人が集まってきてくれる事。次に、本質を正しく伝えられる事が大事だと思います。
 このLT大会はそういったスキルを育てる効果もあるのではと思います。
 熊本でも、LTやプレゼンを経験できる勉強会やイベントが沢山ありますね。

 そして、出産を機に在宅勤務されている方のお話を、インタビュー記事を交えて紹介していただきました。
 そちらの話を元に、参加者でディスカッションしました。
 普段、しっかり考えていなかったテーマだったので、良い気付きを得る事ができました。

(ディスカッション)在宅勤務との開発作業

 今回は当事者側ではなく、一緒に働く側(経営者、上司、同僚)の目線でディスカッションしてみました。
 「オープンソースの世界があるのだからやり方次第でもっと在宅の方を活用できるのでは」という意見や、参加された学生さんからは「むしろ同じ場に集まって仕事する様子がわからない」という意見もありました。

 在宅勤務の実現は何処が難しいのでしょう?
 
 契約
 評価
 信頼構築
 コミュニケーション

 色々なワードが出てきました。

 個人的には『仕事のモジュール化』の話になるのかと想像していました。

 図1

 
 実際には、以下のような意見交換になりました。

 環境構築面や仕事を進める上でのハードルは下がってきている
 在宅勤務にいたるまでのプロセスや契約に難しい面がある
 仮に外注先の一つとしての『在宅勤務者』が実現されたとしても以下の問題がある

 ・海外など、より安い労働力との競争の発生
 ・在宅管理者がいかにして信頼関係を築くか

 図2

 ゲストの万葉さんの発表でも、元々、会社と信頼関係を築いた社員さんが事情によって在宅勤務を選択した(それを会社がサポートした)例でしたし、
 外注に出される仕事が本当にモジュール化されているかというと、(個人の経験でも)そうでないケースばかりを目にしてきました。
 仕事の進め方以前に(こちらは何とかなる問題)信頼関係の構築がむしろ重要という事でしたが、個人で解決するには中々難しい課題ですね。

 在宅勤務は国やベンダーが推進しています (最近もこのようなリリースが 《リリース》ライフネスとNTTアイティ 人材派遣事業者向けサービス『在宅型派遣テレワークキット』を共同で開発:株式会社ライフネス)が、ハードやソフト環境の構築ばかり進めても本質的な問題は解決しなそうです。
 かつて派遣業務の拡大を進めた後に派遣切りの問題が発生したように、推進の方向性次第では、新しい問題の種を蒔く事になりかねないですね。

次回以降の勉強会

毎回、開発プロセスやチーム作りの『立ち上げ』と『継続』が話題にでますが、関連して以下の二つは今後テーマとして取り上げたいと思います。
・周囲の巻き込み
・プロセスの監視とフィードバック

また、CIとそのツールについて、同テーマを取り扱う勉強会は沢山ありますが、ハンズオンの機会を作りたいと考えています。
アジャイルであるかに関わらず知っておいて(活用できて)損はないと思います。各自のノートPCに環境があって、会社や仲間に啓蒙できたら良いかと。

その他、仕事のモジュール化についても考えてみる価値がある(これが上手くできないと、プロジェクトの過程でトラブルが起きやすいし外注にも出し難い)と思いましたが、こちらについてはテーマを細分化したいです。