高齢者の買物について考える

かねてより、高齢者の支援とIT活用について現場の方と意見交換させていただきたいと考えていたのですが、先日、ある地域の包括支援センターの職員さん、民生委員さん、そして地元企業さんから機会を頂く事ができました。高齢者の問題といっても幅広いですが、今回は『買物』に絞って意見交換させていただきました。

熊本のような地方都市の多くは車社会で、郊外型のショッピングセンターに人気が集まっているケースが多いと思います。
同時に、昔からの商店街がさびれ、シャッター街化するケースも増えています。
(他県の方にお話を聞くと熊本は頑張っていると言われますし、まだまだ、活気が残っているように感じますが10年後はどうでしょう…)
このような状況で、車を運転できなくなったお年寄りは、どのようにして買物をされているのかお話を伺い、将来像について意見交換しました。

高齢者の買物について、以下のようにブロック分けして考えてみました。
今回は『Aエリア』と『Bエリア』の話題になります。

食品をはじめとした生活必需品の買物事情について(Aエリア)ですが、こちらの地域では下図のような関係が生きているそうです。

定期的に注文伺いをする事が、安否確認になっているのですね。
ご近所付き合いもまだ生きているようです。
(但し、年配同士で、現時点で中年以下はこのサークルに参加していない)

上記のような関係は、ある日突然発生するのではなく、長年の関係の上に成り立っているのだそうです。
大手さんが新しいサービスを提供しても、高齢者の方は中々興味を示しませんし、効率化されたツールは使いこなしが難しいため、中々入り込めない。
一方、街の小売店は、後継者の問題などで、お店の維持が課題になります(このようなお店がなくなると地域の方は大変困られます)。
この辺りに、大手と地元店で連携する余地があるように感じます。
以前、街の電気店の生き残り手段として、配線等のサポートサービスが注目されましたが、生活必需品の小売店についても、同様のモデルが有効なのではないでしょうか。

また、お年寄りにとって、買物は貴重なコミュニケーションの機会であるようです。
物色するという行為、売買を通した店員さんとのコミュニケーションが喜びであるようです。

各地域で取り組まれている『出張商店街』のニュースを目にする機会がありますが、商業的な成功はともかく、お年寄りの非常に喜ばれている様子が印象的です。
まずは、このようなイベントを通して、商店街と高齢者の関係を再構築して行く事も方策の一つだと思います。