第三回開発プロセス勉強会

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平日開催

平日夜に2時間のコンパクトな形で開催してみましたが、こちらの方が気軽に行えそうです。
また、今回はグループディスカッションを中心に据えてみました。
意見交換も活発な印象を受けましたので、次回もこのスタイルで開催しようかと考えています。

熊本で開発プロセス勉強会を行う意味

会の中でもお話しましたが、新しい開発手法やツールの紹介、もしくは体験型のワークショップをこの会の中心に据えるつもりはありません。
もちろん、必要に応じて盛り込みます。皆の知らない良いものを知っている方にはどんどん紹介していただきたいです。
ですが、そういったものは大きな都市で行われている会の方が内容が充実していますし、情報も新しいです。
新幹線のおかげで博多には30分で行けます。ネットや書籍にも情報は溢れています。情報収集の手段には事欠きません。

この会では、手法やツールのローカライズや現場適用、あるいは広い視点での問題解決にスコープを当てたいと考えています。
例えば、デスマーチの原因が単なる人手不足で、その原因が予算不足なのであれば、お金の集め方の部分にフォーカスした方が解決が早い場合もあると思うのです。
会の話題は、手法やツールにとどまらず、市場分析や業界分析、営業段階や運用段階の話、助成金の活用方法、ときには経営視点での話題も交えていく予定です。
中心は、開発の現場の問題解決ですので、ビジネス方面に広がり過ぎないように注意しますが、物作りの前後の話題も積極的に取り上げていきます。

例えばこのような会話が交わされるイメージです

1.現状分析、問題共有    
 「自分のチームでは(熊本は)△△を行っていて、〇〇は良い所で、××は問題。」
 「〇〇をやりたいのだが良い方法はないですか?」
 「〇〇をやってみたら上手くいきました(上手くいきませんでした)」
 「熊本のお客様の平均的な予算から、この分野での受託開発はそもそも成り立たないのでは?」

2.解決策の模索       
 「〇〇というツール(手法)があって、このような効果があります。」
 「〇〇という制度があるので活用してみては」
 「△△〇〇といった説明の仕方をした方が理解されやすいのでは?」

3.熊本(所属先)への適用  
 「△△ツール(手法)を使うには、うちではこのような工夫を加える必要がある」
 「〇〇をチームに浸透させるにはどのようにしたらよいでしょうか?」
 「〇〇をやりたいが活用できる補助金はあるか?」

*熊本と謳っていますが、県外の方のご参加、大歓迎です。

WEB制作との比較

個人的な意見ですが、業務アプリケーションの世界とWEB制作の世界をくらべると、開発プロセスに関して(特に顧客との関係構築について)はWEB制作の世界の方が先にいっている(シンプルでwinwinに近づいている)のではないかと感じています。

・できる事が具体的に顧客に提示されている
・ゴールイメージの共有が出来ている
・開発(制作)が逐次的に行われている(というより定期的な更新があたりまえ)
・料金も運用に対して支払われている(定額制)ケースが増えている

今回はWEB制作の世界と比較する事によって問題を再度あぶり出し、業務アプリに関わる技術者とWEB制作に関わる技術者で一緒に問題解決に取り組んでみよう(ディスカッション)してみようと思いました。

フロンティアビジョン株式会社 渡邊社長

ホームページ制作、SEO対策のフロンティアビジョン|熊本市
今回は、ディスカッションのお題と基調プレゼンテーションをフロンティアビジョン株式会社の渡邊社長にお願いしました。
フロンティアビジョンさんは地元を中心に多くのWEBサイト構築を手がけられ、来年には創業10周年を迎えられる会社さんです。
渡邊社長は各所で起業やWEB制作について講演されていますが、今回は

◆WEB制作の事
◆WEB制作と受託開発(業務システム)の違い
◆熊本の中小規模のお客様の事情

などご自身の経験を交えながら分かりやすくお話していただきました。
また、熊本での中小企業向けの開発の難しさの原因として

・予算の低さ
・ゴールの曖昧さ(目的、仕様)
・プロジェクトオーナー、メンバーの不在・不足

等をあげられていました。

私も、中小向け独自の難しい部分を感じた経験(むしろ大企業相手の方が楽な部分も多いように思います)があり、頷ける部分の多いお話でした。
システムが完成して、保守フェーズになってもシステムのお守りをする方がいらっしゃらないので、(予算もないので)IT企業側では(お互いにですね…)さらに苦労します。
これが、そのまま熊本(地方都市)のIT普及率の低さに繋がっているのかもしれませんね。

そして、ディスカッション用にいただいたお題がこちらです

「熊本の中小企業向けの受託開発でクライアントも開発側もハッピーになるためのビジョンは?そしてそのために必要な事は?」

ディスカッション

お題:「熊本の中小企業向けの受託開発でクライアントも開発側もハッピーになるためのビジョンは?そしてそのために必要な事は?」

上記のお題を3チームに分かれてグループディスカッションしました。
今回は、時間が押してしまい、30分という短い時間で解決策を考えていただき、5分という枠の中で発表してもらいました。
以下の記事には発表後にインタビューした内容も含めてあります。

Aチーム発表

ユーザーも開発者も、お互いの本分があり、埋めがたい利益相反の部分は残るので、コミュニケーションで無理をしすぎない(時間をかけすぎない)事も大事なのでは。
その溝を埋めるためにコンサル等の第三者を立てて仲介させるのも一つの方法。
熊本では予算不足を自治体の助成金で補うケースが多く、その多くはITC等のコンサルタントを立てる必要があるので、予算獲得においても有効。

Bチーム発表

一つ一つ手作りしていては採算が合わないし、優れたシステムも完成しない。
ユーザーを巻き込んでサービス化を目指し、完成したものをシェア(あるいは他所へ提供)する方向を目指すべき。

Cチーム発表

クライアントとのコミュニケーションを諦めたくない。
アジャイル手法を取り入れるなど、試行錯誤を繰り返し、ユーザーを引き寄せる努力を継続していく。
アジャイルの考え方は熊本では浸透していないので、こういう手法や考え方があることを広めていきたい。
また、いろいろな助成金があるのに熊本のIT企業はうまく活用できていない(外部の企業に活用されている)。
自治体からのアナウンスにもアンテナをしっかり立てて、しっかり活用していくべき。

まとめ

Aチームの発表とCチームの発表は補完関係にあり、ユーザーに合わせて組み合わせて行く事が有効であるように感じました。
渡邊社長のコメントで
「県内のIT企業の得意分野を組み合わせて活用してもらえたら、そのための仕組みや場所をどんどん作って行きたいですね」
「WEB制作の世界のデザインを業務アプリのフロントエンドに活かしたい」
などありましたが、県外、海外の企業に伍して行くにはコラボレーションも重要だと思います。
そして、良い仕組みが生まれたら、Bチームの発表にあるようにサービス化して、県外にも提供して行く形を目指したいですね。

この会も、外から仕入れた知識や手法を我々の現場に適用して、成功例がでたら県外に向かって発信していく、そのようなサイクルを目指したいです。